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New Glass 94 Vol.24 No.3 (2009)


巻頭言

産業競争力を支える中小企業とポスドク ------- p.1 [試し読み] 今年の2月,手作りのリコーダーで世界的にもよく知られた楽器店が大阪にあることを知り,海外出張の帰りに関西空港に着いたその足で立ち寄ることにした。南海鉄道の住ノ江駅の近く,アーケードのある商店街のはずれにその楽器店(ギャラリー)はあった。小学校で音楽教育に使われているリコーダーは,近代的なフルートが登場するまでは主要な楽器であった。

(独)産業技術総合研究所 関西センター所長   神本 正行


特集 「溶液プロセスの新展開」

1)配向性メソポーラス薄膜の作成とプロトン伝導 ------- p.3 [試し読み] ナノサイズのメソポア空間は,分子の速い移動、量子ドットや細線の形式が可能であることから、触媒,電子デバイス、分離剤、吸着剤等の幅広い分野での応用が考えられるようになってきた。特に界面活性剤をポアの鋳型にして作った規則性の高いメソポーラス体の出現以来、その研究例も飛躍的に広がっている。

名古屋工業大学    野上  正行

2)ゾルーゲルハイブリッド薄膜における光誘起非平衡状態を利用した自己組織的微細構造形成 ------- p.8 [試し読み] ゾル―ゲルハイブリッド薄膜に紫外光を入射することにより,光活性化過程を活用した非平衡状態を生成することができる。本稿では,光誘起非平衡状態を活用した微細構造形成について,最近の我々の成果を紹介したい。光照射により空間選択的かつ自己組織的に微細構造を形成できることから,半導体プロセスで確立しているリソグラフィー技術との融合も可能であり,ユニークな表面構造形成による新たな応用展開が期待される。

大阪府立大学     高橋 雅英

3)低温硬化シリカ厚膜の作製とその応用 ------- p.14 [試し読み] 膜厚が1μm を超えるシリカ膜は,さまざまな分野において応用が期待される。例えば,UVカット材料,IR カット材料や着色材料などの光学材料を,含有・分散するためのマトリックス材料として用いることが可能であろう。また,基材の耐摩耗性を向上させるためのハードコート材料としても,用いることができるかもしれない。しかし,ゾル−ゲル法で膜厚が1μmを超えるシリカ膜を作製しようとすると,クラックが発生しやすいことが知られている。クラックの発生は,ゾル−ゲル膜の乾燥過程において,溶媒の蒸発により生じる内部応力が大きいことに由来する。

セントラル硝子(株)   斎藤 真規

4)高性能・長寿命酵素センサーの開発 ------- p.21 [試し読み] 生体内に含まれるタンパク質は生物活動における高度な機能を発現する分子であり,その中でも酵素は生体内の大半の化学反応を司る重要な役割を担っている。そしてゲノム情報をもとに特定の機能を持つ酵素タンパク質を得,その酵素によって物質を生産するプロセスは,高い選択性と常温付近での反応の進行が可能であることから,エネルギー消費が少なく副生成物(廃棄物)も少ない,環境と調和した低環境負荷型の産業システムを実現する技術として注目されている。

(独)産業技術総合研究所   花岡  隆昌 他4名

5)ガラスコーティング技術による表面機能化 ------- p.28 [試し読み] プラスチックは軽量で加工し易く,耐久性,安価などの特色を持つ材料である。金属やガラスなど他の材料と比較すると,熱に弱く,燃えやすい,傷付きやすい等の短所もみられるものの,その特性を活かしてあらゆる分野で応用されており,大量のプラスチック製品が今日,生産・消費されている。なかでも,浴室に用いられる素材は,タイルやステンレスといった重い・冷たい素材から軽くて加工性に優れ,温かみのある樹脂系素材へと変遷し,さらに高級感を有する人造大理石などの新しい素材が開発されてきた。

日立化成テクノサービス(株) 唯岡 英介 他1名


研究最先端

生体機能分子を利用したアパタイト系生体材料の開発 ------- p.35 [試し読み] 一般に,生体は人工材料を異物として認識し,体内から排除しようとしたり周囲の組織から隔離しようとする。例えば指に小さなトゲが刺さっても,そのトゲの表面に沿って上皮組織が体内方向に成長していき(down growth),大抵の場合トゲは自然に抜け落ちる。異物に対するこのような反応は生体の自己防衛のために必要であるが,生体材料に対しては怪我や病気の治療の妨げとなることがある。

(独)産業技術総合研究所  大矢根 綾子 他4名


三次元光デバイス高効率製造技術・研究最前線

光情報処理のためのビジョンシステム ------- p.43 [試し読み] NEDO「三次元光デバイス高効率製造技術」プロジェクトでは,フェムト秒レーザーと,波面制御素子としてのホログラムによるガラス内部への多点同時加工を目指しており,可変型の三次元加工システムの実現にむけた研究を当社は担当している(研究テーマ「空間光変調器三次元加工システム技術」)。三次元多点同時加工の自由度を高める書き換え可能なホログラムとしてLCOS―SLM(Liquid Crystal on Silicon Spatial light Modulator)がその光波形成形・光波面補償の機能から重要な役割を果たす。

浜松ホトニクス(株)   原 勉


いまさら聞けないガラス講座

ガラスの磁性 ------- p.47 [試し読み] 1.はじめに−非晶質固体の磁性とランダム磁性体  非晶質固体の磁性は,原子が無秩序に配列した固体において強磁性のような長距離的磁気秩序が存在しうるかといった本質的な興味に端を発して,古くから研究対象とされてきた。たとえば1967年にはFe―C―P 系非晶質合金の強磁性に関する報告がある1)。その後さまざまな系で強磁性を示す非晶質合金が見つかり,軟磁性体としての応用に結びついた。このころ発見されたもう一つのランダム磁性体にスピングラスがある。

京都大学  田中 勝久


研究機関紹介

OFS研究所紹介 ------- p.55 [試し読み] 筆者は,2007年3月から米国ニュージャージー州サマーセット市(Somerset)にあるOFS研究所に駐在し,古河電工との共同研究テーマの一つであるファイバレーザの研究開発と,両社間のリエゾン業務に従事している。2001年に我々の仲間になったOFS 研究所は,元Bell研究所の研究員やエンジニアが多数在籍しており,光通信分野では世界トップレベルの研究を行っている。今回はニューガラス誌の紙面をお借りして,OFS 研究所と筆者の米国での生活についてご紹介したい。

古河電気工業(株)    富永 敬介


ニューガラス関連学会

1)The 8th Pacific Rim Conference on Ceramic and Glass Technology with the Annual Meeting of the ICG参加報告 ------- p.59 [試し読み] 2009年5月31日から6月5日にかけてカナダのバンクーバーで第8回PACRIM(Pacific Rim Conference on Ceramic and Glass Technology)が開催された。今回はICG(International Congress on Glass)の年会も併催された。PACRIM はThe American Ceramic Societyが主催し,日本,中国,韓国,オーストラリアの各セラミックス協会が協賛する国際会議であり,1993年に初めてハワイのホノルルで開催され,その後隔年で開催されている。

日本電気硝子(株)    紀井 康志

2)ニューガラスフォーラム総会記念講演会を聴いて「工学系教授弁理士から見たガラス等材料開発と知的創造サイクルにおけるイノベーション知財戦略」 ------- p.62 [試し読み] 2009年6月5日(金)に第22回通常総会があり,恒例である記念講演会が開催された。今回の講演は,吉本護教授・弁理士(東京工業大学大学院総合理工学研究科・物質科学創造専攻)による「工学系教授弁理士から見たガラス等材料開発と知的創造サイクルにおけるイノベーション知財戦略」であった。吉本先生は,日本でただ一人の工学系教授弁理士である。教授でありながら弁理士試験の勉強をする苦労話から,知財・特許の概観,自身の研究内容,さらには知財戦略の最新動向まで,大変中身の濃い話題が,時に冗談を交え軽快に語られた,素晴らしい講演であった。

セントラル硝子(株)  山口 慶和


新刊紹介

「ガラスの加工技術と商品応用」  情報機構 ------- p.66 [試し読み] とにかく,ガラスに関連する広範囲な話題を取り扱っている。かといって,ハンドブックや事典などのようにガラスに関連するすべての項目を網羅するのではなく,題名の通りガラスの加工技術とガラスを応用した製品に焦点を絞り,さらに現在ホットな技術領域,応用領域にスポットを当てているところに特徴がある。76名に上る著者も,各分野の第一線で活躍中のメンバーを揃えており,野心的な試みと言えるかもしれない。

旭硝子(株) 尾山  卓司


コラム

ニューガラスフォーラムとのかかわり ------- p.70 [試し読み] ニューガラスフォーラムが設立されたのが昭和60(1985)年7月16日ですから,約25年経過したことになります。幸い私はまさにその設立時からメンバーの一人に加えていただいて活動に参加することができました。企画推進委員,特別委員,研究会委員,セミナー委員会委員長,国際シンポジウム委員会委員長等々の役割を与えられ,主として初期のころにかなり深く関わりました。

大阪府立産業技術総合研究所     南 努


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