
巻頭言 ------- p.1 [試し読み] ほうろうは歴史の長いガラスと金属の複合材料である1〜3)。現在のほうろうの主体金属である鉄ほうろうが17世紀に開発されてからを考えても,大変長寿な複合材料である。その意味でもほうろうには魅力ある潜在的機能が存在していると考えられる。わたしには,ほうろうが丈夫で大きなビーカーと思える。割れにくいビーカーであり,ガラスだけでは実現できない大きなビーカーなのである。経済産業省住宅産業窯業建材課長 土井 良治
特集 「ガラスと金属の接合」1)ファインほうろうへの道 ------- p.3 [試し読み] この7月30日に住宅産業窯業建材課長に着任いたしました土井です。日頃より経済産業行政にご支援,ご協力いただき御礼申し上げます。さて,地球温暖化や資源価格の変動を始めとする環境・資源制約,高齢化・人口減少,急激な為替変動等,外部環境の変化による課題に直面する中で,今後とも我が国が発展を続けるためには,この現実を直視した上で,果敢に課題の解決に取り組んで行くことが必要です。
千葉工業大学 清水 紀
2)陽極接合−その原理と,さまざまな材料への応用の可能性 ------- p.7 [試し読み] 陽極接合とは,ケイ酸ガラスと金属,もしくは半導体を接触させ,金属側を陽極として両者のあいだに数百V 程度の直流電圧を加えることで接合を行う方法である。この方法の第一の特長は,ガラスと金属という大きく性質の異なる材料同士を,はんだや接着剤のような介在物を用いることなく接合できることである。
大阪大学 高橋 誠
3)金属ガラスの接合技術 ------- p.13 [試し読み] 1990年代に,アモルファス形成能が高く,cm 級のバルク材が鋳造法によって作製できるアモルファス合金が見出された。この新しいタイプのアモルファス合金は,明瞭なガラス遷移現象を示すことから,金属ガラスと呼ばれている[1−3]。金属ガラスは室温近傍では高強度で高靭性であるが,ガラス遷移温度以上の過冷却液体状態では粘度が急激に減少して優れた加工性が発現する[4]。金属ガラスの応用範囲を広げるためには,接合技術の確立が不可欠である。
熊本大学 河村 能人
4)ガラスへの金属ビア直接封入による高気密性ガラス基板 ------- p.21 [試し読み] ガラスは電気・電子機器に様々な形状,用途で広く使用されているが,物理的・空間的にガラス単独で使用されることはなく,必ず何らかの別部材と接続,接着あるいは接合されている。単にガラスを保持するためであれば,金属パネルへの嵌め合いや樹脂止めで間に合うが,接続部に各種の機能が要求される場合には,それに応じた各種の接合方法が採用される。
NEC SCHOTT コンポーネンツ(株) 鎌田 宏
5)ガラスの常温接合 ------- p.26 [試し読み] 接合の必要条件は,1)接合面の密着,2)化学結合の形成である。かつて某TV 番組で常温接合が紹介されたなかで,接合の必要条件として接合面の密着が取り上げられ,究極の平坦な表面での接触によって常温接合が可能であること,そして実際の凹凸のある表面に対しては,その隙間を埋める接着剤の存在が有効であることが分かりやすく解説された[i]
東京大学 須賀 唯知
研究最先端超高圧力条件におけるSiO2ガラスの高密度化現象と地球内部進化 ------- p.31 [試し読み] 四十数億年前の原始地球は,原始惑星物質や微惑星が衝突・集積を繰り返す地球の形成期にあったと考えられています。また,その衝突のエネルギーにより原始地球の表層はドロドロに融けた状態にあったと考えられています。さらに集積期末期にはジャイアント・インパクトと呼ばれるような火星サイズ程の巨大な天体の衝突により,原始地球が全溶融するほどの高温状態を被り,全原始地球はドロドロに融けたマグマの海(マグマオーシャン)に覆われていたと考えられています。
東北大学 村上 元彦
三次元光デバイス高効率製造技術・研究最前線ガラス・ホログラムにより75フェムト秒で作製した三次元微細加工構造 ------- p.36 [試し読み] 三次元光デバイス高効率製造技術国家プロジェクトで筆者等がこれまでに取り組んできた研究成果により,ガラス・ホログラムとフェムト秒レーザーパルスを用いることで透明媒質内部に80個の異質相を一瞬の75フェムト秒(7.5×10−14 秒)で作製することに成功した。その概要を以下にまとめた。
ニューガラスフォーラム 田中 修平
いまさら聞けないガラス講座ゾル−ゲルコーティング技術の基礎 ------- p.40 [試し読み] 材料の表面上に作製される薄膜はコーティング膜とよばれ,単独膜(それを支持する材料をもたない薄膜)と区別される。しかし,薄膜といえばコーティング膜をさすことが多い。無機薄膜(ガラス薄膜,セラミック薄膜)や,有機・無機ハイブリッド薄膜の製造法としてのゾル−ゲル法は,その全工程を常圧で行うことができるため,気相法(PVD,CVD 等)と比べ,安価で簡便な方法であるといわれてきた。
関西大学 幸塚 広光
研究機関紹介Collaboration between Southampton and Kyoto reveals new properties of light -matter interaction in glass ------- p.46 [試し読み] For over a decade,the international researchcollaboration between groups from theUniversity of Southampton,led by ProfessorPeter Kazansky and Professor KazuyukiHirao Laboratory at Kyoto University,haslinked two internationally leading research activitiesin the fields of glass science and optoelectronics.
University of Southampton Kazansky Peter G.
ニューガラス関連学会1)第23回ニューガラスフォーラム総会記念講演聴講記 ------- p.48 [試し読み] 去る平成22年6月4日の第23回ニューガラスフォーラム総会においてアスキー総合研究所所長の遠藤諭氏がクラウドコンピューティングに関する記念講演を行った。氏はこれまで月刊アスキー(現在は「ascii」)の編集長や『計算機屋かく戦えり』『ジェネラルパーパス・テクノロジー』(野口悠紀雄氏との共著)などの執筆を通してIT 分野のトレンドを紹介してきた。クラウドコンピューティングはこの10年間にネット社会を大きく変革し経済構造さえ変えるとも言われている。
旭硝子(株) 谷口 健英
2)The8th International Conference on Coatings on Glass and Plastics ------- p.51 [試し読み] The8th International Conference on Coatings on Glass and Plastics(ICCG8:ガラスとプラスチックへのコーティング国際会議)が,ICCG 国際実行委員会およびフラウンホーファーIST の主催により,2010年6月13−17日にドイツ北部の都市ブラウンシュワイクで開催された。世界中の企業や大学・研究所を中心とした多くの参加者(400名程度,日本からは30名程度)により,連日の賑わいをみせていた。
青山学院大学 岡 伸人
3)日本ゾル−ゲル学会第7回セミナーに参加して ------- p.54 [試し読み] 日本ゾル−ゲル学会のセミナーは,大学と企業双方からゾル−ゲル法に関連する講演者を招く例年恒例のイベントである。今年は6月4日(金)に本学の西早稲田キャンパスで開催された。本セミナーの特色として,毎回講演全体のテーマが設定されていることが挙げられる。今回のテーマは『ゾル−ゲル法を利用した無機−有機ハイブリッドマテリアルの新展開』であり,ゾル−ゲル法の多様な分野への適用可能性が感じられる講演を多数聴講することができた。
早稲田大学 若林 隆太郎
新製品・新技術紹介1)超大口径光ファイバ用融着接続機S184PM-SLDF ------- p.57 [試し読み] 石英でできた光ファイバの先端を溶融して接続する装置として広く用いられているものに,光ファイバ融着接続機がある。光ファイバを用いた通信のネットワークを構築するために光ファイバを接続していく必要があり,低損失かつ信頼性の高い接続方法である融着接続は接続工事現場で広く使用されている。
古河電気工業(株) 内田 隆章
2)印刷・塗布によるエレクトロクロミック素子の開発 ------- p.60 [試し読み] 近年,地球温暖化対策の一環として,空調のエネルギー効率を向上させるために,遮熱・断熱性に優れたLow-E ガラスやペアガラスの利用が広まると同時に,必要に応じてガラスの色を変え,透過する光の量を調整することが出来る「調光ガラス」が注目されている。
産業技術総合研究所 田中 寿
関連団体資料集「ガラス製造プラント百科」発刊 ------- p.64 [試し読み] 平成19年の構想から2年余りをかけてガラス産業連合会(GIC)が集録・編纂を進めてきた資料集「ガラス製造プラント百科」がCDROMの形で8月末に完成し,9月には関係者にお届けすることができるようになりましたので,本誌面を借りて紹介します。
ニューガラスフォーラム 丸山 勉
コラムインサイドキックの達人 ------- p.66 [試し読み] 題名に記したインサイドキックとは,サッカーのもっとも基本的なボールの蹴り方である。ガラスとは何の関係もないが,長年自分を魅了してきたものという意味でサッカーとガラスとは私自身の中では共通点がある。そして,こっちがこれだけ好きなのになかなか思い通りにならない(なってくれない)ところも同じである。
日本板硝子(株) 坂口 浩一