常設展示（現代ガラスの博物館）
博物館の2面にはガラス張りの常設展示ブースを設け、ここに協賛団体のガラス製品を常設的に展示しています。以下、各プースの展示の概要を、入口に近いところからご紹介します。
第1と第2の区画には、ガラス食器の展示を行っています。第1区画には、ガラス食器の組成別製品を展示しています。一見同じように見えるガラス（とくに皆さんの身近にあるガラス）にも、さまざまな組成・性質の違いがあり、その違いを生かした製品作りが行なわれていることが分かっていただけると思います。なお、余談になりますが、ガラスは、全体的に見ますと、その成分が地殻を構成する成分に近く、いわば「地球と兄弟」の材料で出来ていると言えます。第2区画には、ガラス食器関係の会員会社が2カ月交代でそれぞれの代表的製品を展示しております。ここは、とくにご説明するまでもないと思われます。ガラスの持つ美しさをご観賞ください。
第3と第4の区画には、ガラスびんの展示を行っています。ひとつのブースは、約4カ月単位で、ガラズびんに開係するさまざまなトビックスを集めて展示しているコーナーです。もう一つのブースは、「ガラスびんのリサイクリング」に関する展示を行っています。びんはそのリサイクルの方法によって、2種類に分けられます。1つは、何回も洗って再使用するリターナルびん。もう1つは、l回の使用ごとに砕かれ、新しいびんに再利用されるワンウエイびん。あきびんはリサイグルすることで、何度でも再使用可能な素晴らしい資源なのです。
ガラスを細長く糸状に伸ばしたものをガラス繊維といいます。第5の区画には、ガラス繊維のいろいろが展示されています。ガラス繊維には、大きく分けて「長繊維」と「短繊維（グラスウール〉」があります。長繊維は、糸のまま、あるいは織物にして用いられます。身近なところでは「不燃性のカーテン」がおなじみのものでしょう。また、この糸や織物をプラスチックスで固めたものを「FRP（エフアールピー）」といいます。軽量で強度が大きいので、種々の形にして広く用いられています。新しいところでは、各種の乗り物のポディーとして利用されています。短繊維（グラスウール）は、綿状のまま、あるいは固めてフェルト状にして、断熟材として用いられています。皆さんのお宅の壁や床にもおそらくグラスウールが埋め込まれているものと思います。
第6の区画では、光学ガラスの展示が行われています。ガラスのレンズやプリズムは、写真機、ビデオカメラ、メガネ、望遠鏡、顕微鏡などでおなじみだと思いますが、このような目的に使われるガラスを光学ガラスと呼びます。光学ガラスは、板ガラスやびんガラスと違って、その目的や機能向上の必要性から、いろいろなレンズを組み合わせるため、種類がたいへん多く、普通に用いられているものだけでも数百種類もあります。また、研究開発によって、その種類は今でもどんどん増えています。レンズの寸法やガラスの均質度に対する要求も厳しく、溶融、成形、加工、研磨などにつぎつぎに新しい技術が生まれています。小さなレンズをプレス成形で作る方法も最近の技術の進歩のたまものです。
板ガラスは、建物、自動車、鉄道車両など、日常どこでも見かけることのできる製品ですが、この世界でもつぎつぎと新しい製品が生まれています。第7と第8の区画では、日常よく使われていながら意外と知られていない製品や新しい製品など板ガラス製品の展示を行っています。衝撃に対して強い強化ガラス、2枚の板ガラスの間に強靭なプラスチッグス膜を挟んで接着した合せガラスは、安全ガラスとして自動車・鉄道車両などに多く使われています。断熱複層ガラスは、2枚の板ガラスを、スペーサーを挟んで6〜12ミリの間隔をあけて貼り合わせたものです。中間には乾燥した空気を封入しています。このガラスは、断熱性が大きく、高い省エネルギー効果を発揮します。
第9と第10の区画には、ニューガラス製品が展示されています。ニューガラスというのは耳慣れない言葉だと思いますが、先端産業、いわゆるハイテク産業に用いられている新しいガラスをいいます。通信用の光ファイパーや液晶テレビに用いる高平坦度の基板ガラスなどが、その代表的なものですが、その他にも、種々のニューガラスがあり、それらを機能別に分け、期間をおいてテーマを変えながら展示しています。