
巻頭言「大きな飛躍は夢でない」 ------- p.1 [試し読み] 大きな飛躍は夢でない―――技術1流,科学1.5流,教育2流とはいわせない 日本の科学技術は順調に推移しているといえよう。特に科学技術基本計画以来基礎研究は充実し,かつ要素技術には見るべきものが多い。科学技術創造立国もあながち夢ではない。特に材料関係は,鉄鋼,セラミックス・ガラスはもちろん,今後注目される環境・エネルギーに関する材料分野において総合的には世界の最先端にあることは自負できる。しかしながら,こんなに素晴らしい技術を持っているわりに,経済の成長は今一つであり,それよりも国民が何か生き生きしていないのが気になる次第である。
東京大学名誉教授 岸 輝雄
特集 「ガラスと競合する材料・新技術」透明セラミックス ------- p.5 [試し読み] セラミックスといえば一般には不透明で可視光を透過しないものが多いが,ある条件下で作製された場合にはガラスのように光を透過するようになる。このことは1950年代後半にR.L.Coble らが透光性アルミナの合成で実証した。弊社では,2002年に誘電体材料の高性能化取組みの中でBa(Mg,Ta)O3系透光性セラミックス(ルミセラ )の開発に至り,2004年にデジタルカメラ用レンズとして実用化された(図1)。本報では,透明セラミックスのうち特にルミセラ の透明化とその光学特性について述べる。
(株)村田製作所 田中 伸彦
プラズモニック・メタマテリアル ------- p.9 [試し読み] 光の波長より小さなナノサイズの金属共振器をホストとなる物質中に無数に集積化すると,このナノ構造を有する物体はあたかも均質な物質として振る舞う。この金属ナノ構造体でできた疑似物質には,その物質の光学特性を埋め込んだ金属の構造(形)によって制御できるという特徴がある。
(独)理化学研究所 田中 拓男
セルロースナノファイバーから製造した「折り畳めるガラス」 ------- p.12 [試し読み] 液晶テレビ,プラズマテレビといった薄型ディスプレイは,マザーガラスと呼ばれる巨大なガラス基板の上へ一度に電子回路を描き込み,多数の商品サイズへと裁断することで製造コストを抑えてきた。10年前には数十センチ角であったマザーガラスの大きさも,現在は3メートル角まで大型化されている。しかしマザーガラスは,厚さがわずか0.7ミリしかなくハンドリングが非常に複雑であるため,更なる巨大化は製造コスト削減に繋がりにくい。
京都大学 能木 雅也 他3名
シルセスキオキサン骨格を有する有機−無機ハイブリッド材料 ------- p.16 [試し読み] 有機−無機ハイブリッド材料は,有機材料単独もしくは無機材料単独では得られない物性を有する材料として様々な分野で盛んに研究が進められている。その中でもケイ素を含んだ新しいポリマー,特にポリシルセスキオキサン骨格を有する材料はエレクトロニクス,フォトニクスやその他の分野で無機シリコン化合物に替わるものとして期待されている。
新日鐵化学(株) 林 敬一
プラスチック光ファイバー ------- p.20 [試し読み] 無機ガラスにはない固有の特性を有する光学ポリマーは,フォトニクス分野の材料としての地位を占めつつある。しかしながら光学ポリマーには無機ガラスと比較して「透明性が低い」,「複屈折が大きい」,「屈折率の波長分散が大きい」,「光学的均一性が低い」という問題点があり,これらが光学ポリマーデバイスの性能向上と用途拡大の課題となっている。
慶應義塾大学 小池 康博
ポリカーボネート樹脂自動車窓ガラス欧州の現状と開発動向 ------- p.24 [試し読み] ポリカーボネート樹脂(以下PC と略)は,バイエル社で1953年に開発されて以来,透明性,耐衝撃性,耐熱性,寸法安定性,自己消火性等の特性およびそれらの優れたバランスにより,フィルム,シート,自動車部品,電気・電子機器・事務機器ハウジング,光ディスク(CD・DVD 他),20L 水ボトル等,次々に用途を広げてきた。
バイエルマテリアルサイエンス(株) 福井 博之
研究最先端シリカベース有機―無機複合体の発光現象 ------- p.27 [試し読み] 直鎖アルキル基などの有機官能基を有するシリコンアルコキシド(一般式RxS(i OC2H5)4−x,x=1−3)のゲル化や,シリケート/界面活性剤複合体のゲル化などにより,柱状構造や層状構造などの多様な内部構造を有するシリカベース有機―無機複合体の作製が可能である。
神戸大学 内野 隆司
三次元光デバイス高効率製造技術・研究最前線「三次元光デバイス高効率製造技術」を活用した回折光学素子の作製 ------- p.31 [試し読み] NEDO「三次元光デバイス高効率製造技術プロジェクト」については,過去7回にわたって連載され,また京都大学における研究体制と研究の現状についても,本機関紙「NEW GLASS」シリアル番号88号,89号,93号に3回掲載されている。本稿では,その中に記載された「三次元光デバイス高効率製造技術」を活用した回折光学素子の作製について詳述する。
京都大学 澤野 勉 他3名
ガラス革新溶融技術・研究最前線インフライト溶融によるガラス製造のための熱プラズマ発生技術 ------- p.35 [試し読み] 現在の大規模ガラス製造には約150年前に発明されたシーメンス型溶解炉が今でも最も広く用いられている。ガラス製造の省エネルギーにはガラス原料の溶融過程の見直しが効果的であり,今までに様々なガラス溶融技術が考案されている。シーメンス型溶解炉の高効率化だけではエネルギーコストの削減には限界があることから,これからの低炭素社会に対応するには,シーメンス型溶解炉からの脱却が必須である。
東京工業大学 渡辺 隆行
いまさら聞けないガラス講座ガラスの研磨加工 ------- p.40 [試し読み] 研磨加工とは研磨パッド,ラップ定盤といった工具の上に切れ刃となる砥粒を含んだ研磨剤を供給し,それに工作物を押し当て摺動させるといった単純な加工プロセスである.それゆえに,その構成要素の種類,組み合わせ,使い方には極めて多くの選択肢があり,適切に選択することで他の加工法では得られない高品位かつ高精度な仕上げ加工をリーズナブルなコストで実現できるものの,そのためには多くの知識やノウハウが必要とされる.
大阪大学 榎本 俊之
ニューガラス関連学会「第50回ガラスおよびフォトニクス材料討論会」参加報告 ------- p.43 [試し読み] 秋が深まり始め,京都を囲む山々もほんのり色づきだした2009年10月29・30日の両日,京都大学桂キャンパスにて第50回ガラスおよびフォトニクス材料討論会が開催された。京都大学の平尾一之先生・三浦清貴先生を中心とした実行委員会による円滑な運営のもと,多数の研究発表と活発な討論が2日間にわたって行われた。
京都大学 村井 俊介
「GIC第5回ガラス技術シンポジウム」参加報告 ------- p.47 [試し読み] ガラス産業連合会(Glass Industry Conference)がガラス関連6団体で設立されて,今年で10年目となります。GIC の大きな役割は,板硝子,電気硝子,硝子製品,びんガラス,硝子繊維,ニューガラスに共通する技術課題のフォローです。ところで,ガラス技術の交流が,特に,学界と産業界の間で不足しているとのGIC における反省から,5年前に,産学交流活性化方策として,「ガラス技術シンポジウム」を開始しました。
ニューガラスフォーラム事務局
日本セラミックス協会関西支部若手フォーラムに参加して ------- p.49 [試し読み] 2009年11月13―14日の2日に渡り,日本セラミックス協会関西支部第12回若手フォーラム「セラミックスの将来と若手への期待」が開催された。場所は秋の六甲山,見事に色付いた紅葉を眺めながらケーブルカーに乗って会場となるホテルまで向かった。
大阪府立大学 井原 理恵
The16th International Display Workshop(IDW '09)参加報告 ------- p.52 [試し読み] 2009年12月9日から11日までの3日間,宮崎ワールドコンベンションセンターサミットにてIDW'09が開催された。この会議場は海のすぐそばで,ゴルフ場とも隣接しており,非常に美しい景色の場所で行われた。この会議は,毎年12月ごろ日本各地で開催されているが,ITE(Institute of Image Informationand Television)とSID(Society of InformationDisplay)の共催による日本でも最大規模のディスプレーに関する国際会議である。
コーニングホールディングジャパン(合) 水嶋 康之
新製品・新技術紹介高耐熱広帯域反射鏡 ------- p.55 [試し読み] 化石燃料を使用しない発電が注目される中,太陽光を利用した発電プラントの開発が続けられている。太陽光を用いた発電には光を直接電気に変える太陽電池と太陽光を熱エネルギーとして蓄え,その熱を発電に用いる太陽熱発電が知られている。太陽熱発電は国内においては日射量の関係から話題に上がる機会が少ないが地中海沿岸地域などでは将来性がある発電方法として期待されている。太陽熱発電ではその熱の確保のため大量の鏡を用いて集光が行われる。
日本電気硝子(株) 櫻井 武
陽極接合できる貫通多層配線LTCC基板 ------- p.58 [試し読み] MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)はゲーム機のコントローラーや携帯電話などに使われるなど,次第に身の回りの生活を豊かにする部品として数多く使われるようになってきている。このMEMS 実装技術として,シンプルな工程で低コストかつチップサイズのMEMS が製造できる,ウエハレベル実装が積極的に検討され一部実用化されてきている。
ニッコー(株) 毛利 護
国際ガラスデータベースINTERGLAD Ver.7 ------- p.61 [試し読み] INTERGLAD はガラスに関する総合的なファクトデータベースである。1991年にニューガラスフォーラムより世界で初めてリリースされて以来,新規データの登録,システムの改良,新機能の追加,機能の高度化等が継続的に行われ,国内外の多くのガラス研究者,技術者等に広く活用されてきた。
ニューガラスフォーラム 鈴木 恵一朗
新刊紹介先端ガラスの産業応用と新しい加工 ------- p.68 [試し読み] シーエムシー出版から,新材料・新素材シリーズの新刊として,京都大学平尾一之先生が監修された「先端ガラスの産業応用と新しい加工」が2009年8月に発刊された。本稿では,当書籍に関する紹介と,著者の感じた雑感を述べさせていただく。本書は,大きく3編から構成されており,それぞれのセッションを,現在のガラス研究の第一人者の先生方が執筆されている。それらの題目は以下のようである。
東北大学 正井 博和
関連団体平成22年「ガラス産業連合会新年会」報告 ------- p.71 [試し読み] 東京の最高気温が18℃ まで跳ね上り、大寒(だいかん)とはいえポカポカ陽気に恵まれた1月21日(木)午後4時から6時まで、もはやガラス業界の風物詩として定着した観のある、「ガラス産業連合会(GIC)新年会」が開かれました。
ニューガラスフォーラム事務局
コラム「エコガラス」−一般消費者に対する建築材料のブランド化への試み ------- p.74 [試し読み] 「エコガラス」という言葉を耳にしたこと,あるいは図のようなロゴマークを目にしたことのある方はいらっしゃるだろうか。「エコガラス」とは,板硝子協会の会員である旭硝子(株),日本板硝子(株),セントラル硝子(株)の3社が製造する,一定以上の遮熱・断熱性能を持ったLow―E 複層ガラスの共通呼称であり,このロゴマークは3社のエコガラス商品に対して運用されるものである。
旭硝子(株) 師尾 元